第一発見者のカナは、何も言って来ないミナにしびれを切らし、連絡を寄越しました。
カナにだから話せた、逆に、カナにしか話せない事実でもありました。
相当なショックを受けていたのは、口調ですぐに分かりました。
「で?どうする気?」
(どうするもこうするもないわ。しばらく様子見て考えようと思って。)
「また同じことになんないように、ちゃんと見なきゃ。」
(それ当たり前だから。今すぐはないと思うけど、かえってこれからの方が大変だわ…)
「・・・とんでもない話だよな。ありえないわ、ホント。」
ミナが思っている気持ちを、カナが代弁しているようでした。
怒りとも呆れとも言える、何とも言えない気持ち。
カナが同じ気持ちになってくれていることが、ミナにとっては救いでした。
離婚はせずに突き進むとカナは察していたようで。
「次こんな事あったら、即離婚だな。3人子供居て×2かよ、すげーな。(笑)」
「ま、無いとは思うけどさ。まずは頑張れ。」
冗談を交えながらも励ましてくれ、心が楽になったのを覚えています。
オサムちゃんノリちゃんには絶対に話せないと言う事だけは、姉妹の暗黙の了解。
きっとノリちゃんは、何かがあったはずだと感づいていたはずです。
カナに聞いていたのかは分かりませんが、あえてミナに聞くこともありませんでした。
カナの存在が唯一の救いでした。
マサ○がどういう人か、改めて考え始めたのはこの頃からです。
我侭で自己中心的なのは見ていてはっきりと分かりましたが、
人には見せない部分…見られたくない隠し持っている心を見るようになりました。
そう簡単に見えるものではありませんが、
ミナの言葉に反応した時の態度や顔つきを観察していくと、
自然と見えてくるものがありました。
根は優しく、どちらかと言えばおとなしい性格で、悪人ではないということ。
根底で考えていることは正論に近く、ミナがそれに反したことを言えば激怒。
自分の欲求が満たされないと、精神的にダメージを受けやすく、殻に篭る。
逆の場合は、全身にパワーがみなぎった様に元気いっぱい。
単純…ナルシスト…臆病者…自己愛者…
少しづつ、マサ○が見えてくるようになりました。
完全にミナを頼り切っているのは最初からで、それに対して腹を立てていましたが、
それは、ミナ自身が、マサ○を知り尽くしていなかったから。
…大人になりきれていない大人…
マサ○を表すのには、この言葉が一番ふさわしいです。
こうなってしまったのは、幼い頃の環境が大きく関わっているのも避けられません。
育てた人達の間違った愛情が、マサ○をこうさせたのだと思うようになりました。
そのことに気が付いてからのミナは、マサ○を、
子供達の前では父親として、内心では子供として見るようにしました。
事件から半年ほどで、ヒカルが幼稚園に、キョウとジンは進級しました。
ミナが定まらないと、子供達に影響を与えてしまうからと思い、普通に装う努力をしました。
考えないように、触れないように。。。
血の出る傷は若い人ほど治りが早いからと、子供達の心の傷も同じであってほしいと願い
ました。
子供達の笑顔を沢山見ていくうちに、ミナの傷が癒されていくのを感じました。
夏頃には、キョウの後頭部の円形に、少しずつ毛が生えてきていました。
…このままでいい…このまま…
崩壊しそうな家族それぞれに、そういう想いでいました。
ミナはいつしか、家族から一歩離れた目線で一人一人を見るようになっていました。
【続く】
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