2009年01月07日

唯一の逃げ道

漁師町の仕事がどういうものなのか、
家にこもってばかりいたミナには、雰囲気でしか伝わっていませんでした。
ただ確実に分かったのは、『働く嫁は良い嫁』という事でした。
どこのお宅を見ても、たとえ子供が小さくとも女性も男性並に働いていました。
商売をしている家なら尚更です。
ミナもその仲間入りをしなければいけない時が来ました。

 家では、時期的に商売をしていました。
夏の二ヶ月と秋から春にかけて、それぞれ仕事の内容が違いました。
まずは夏の仕事から始まりました。
朝は4時置きで、昼には終わる仕事。
よちよち歩きのヒカルは、その辺に野放しです。
それでも泣かずに、ちゃんと遊んでくれていたので、安心して仕事が出来ました。
永年来てくれているおばさんの他は、皆身内。
ほとんどが身内の仕事場は、初めてのミナにとってはとても厳しいものでした。
嫁としての位置付けがかかっていましたから。
仕事の流れを覚えるのに必死で、最初の1シーズンは何をしたのか覚えていないくらいです。
体力と気合だけには自信があって。(笑)
「マサ○も、働く嫁選んで良かったな」なんて声も聞こえてきたり…
がむしゃらに働いた甲斐あって、仕事は何とかこなせるようになりました。
気難しい雰囲気のお姑さんでしたが、仕事をしているミナに対しては優しかったのが救いでした。
 
 マサ○が遊びに行っている時の、ヒカルのお風呂を手伝ってくれたのもお姑さんでした。
何かと気にかけてくれていましたが、いつも怒っているかのような口調で…
でもそれが、この土地特有のしゃべり方のようで。
それに慣れるまでは、本当に気を遣いました。
慣れた頃見えてきたのが、息子に対しての態度。
やっぱり可愛いんでしょうね…ミナも今だから分かるようなものですが。
「遊んでばっかりで困ったもんだ。あんたんとこは母子家庭だわ。」
(それはマサ○に言う言葉だろうが!ヽ(`Д´)ノ )・・・思っても言えませんでしたが・・・
マサ○に言わなくてはいけない言葉なのに、何でもミナに言ってくるのがとても不満でした。
血の繋がった親と子の間で仲介役。当然、納得なんていきません。
でも、どうすることも出来ませんでした。
今もですが、行ったり来たりの繰り返しのままです。

 ミナには、溜まった不満をぶつける所がありませんでした。
…そんな時はカナ。(笑)
ただひたすら文句ばかり並べるミナに、結構気を遣っていたようで。
「それは腹立つわ。」とか、「微妙だね、それ。」とか。
自分の意見はほとんど言わずに、聞き役に徹してくれていました。
唯一、本当のミナに戻れるのはカナと居る時間だけでした。
カナは、そんなミナの話をどう思って聞いていたのでしょう。。
姉のそんな姿は見たくはない、というのが本音だったのでしょうけど。

 身動きの取れない中で、無理矢理に見つけたミナの居場所。
本物ではないと知りつつも、それにすがるしかありませんでした。
止めることは事はいつでも出来るから、と自分に言い聞かせ、前に進むのでした。

                                                      【続く】
posted by ミナ at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ★その後★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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