患者さん達は誰一人として見かけませんでした。
静まり返った病院内を、スリッパの音が響かないように、
足元に気を付けながら歩いた記憶があります。
通された婦人科で、待合所の椅子に腰をかけ、指示を待ちました。
しばらくして病室に案内され、着替えるように言われました。
看護士さんが、陣痛の間隔はどうですか?と。
((・ω・)???…何だか弱くなった気がします…)
多少の痛みはあったものの、聞かれて初めて、
動けなくなるほどのものではなかったと気が付きました。
少し待つことにしたのですが状況は変わらず。
それから4時間後、分娩室に案内され、人工的に破水。
(陣痛促進剤は使わないのですか?…以前にも使ったことがあるんですが…)
「なるべく、薬は使いたくないと思います。」
((´・ェ・`)…ハイ…)
三度目なのに、こんなにてこずるとは思っていませんでした。
赤ちゃんは生まれ出て来たいのに、体が拒否している・・・そんな感覚でした。
先生が来て、本格的な出産に入りました。
分娩台に一人ぼっち。
この気持ちだけは、回数なんて関係ありません。
やっぱり、親愛なる人に傍にいてほしいものです。。。
その気持ちを察してなのか、クライマックスという時に、
先生はミナの手をしっかりと握ってくれました。
この時の安堵感…先生の頑張れという気持ちが伝わってきて、本当に勇気付けられました。
そして生まれてきた我が子。男の子でした。
色々な想いがあっての出産でしたから、この子を見た時には涙が溢れてきました。
(捨ててしまおうなんて思っていたのに…)
(キミはミナに幸せを運んでくれたんだよね…)
(ごめんね…そしてありがとう…)
我が子を見つめ、心の中でそう言いました。
生まれたての赤ちゃんにはもちろん慣れていたので、なんてことはありませんでしたが、
入院中の気がかりは、何と言ってもキョウとジンの事。
マサ○が子供達を連れてきたのは二日後のことでした。
二日会ってないだけでも、会えなかった時間がとても長く感じられました。
ミナの顔を見て安心した子供達の笑顔は、今も目に焼きついています。
もう一つの気がかりはマサ○。
入院中に父親参観日があったので、それにはちゃんと行って欲しいと伝えてありました。
…が、…
参観日の前日、友達に誘われて飲みに行き、午前様だったマサ○。
父親としての自覚など、みじんもありませんでした。
初めての参観日だったのに。。。
ミナの心の中は、言葉では言い表せないほどの怒りとショック。
ではなをくじかれた思いで、虚しさだけが残りました。
退院後、新しい家族と共に生活がスタートしました。
言うまでも無く、忙しくなったのはミナだけで、マサ○は相変わらずな毎日を送るのでした。
【続く】
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